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THE COLLECTORS
ブリティッシュ・ロックやモッズカルチャーに強烈な影響を受けた加藤ひさし(ボーカル・作詞・作曲)をリーダーとして1987年メジャーデビュー。常にブレイク寸前。
THE COLLECTORS OFFICIAL WEB SITE
僕はコレクター (1987)
コレクターズのファースト。半分以上は前身バンドTHE BIKE時代の楽曲。
初期コレクターズの世界観の核となる「自分と社会の軋轢」の構図。それが20代前半の加藤の中で出来上がっていたことが分かる。
1.僕はコレクター
恋にときめく少年の歌。
それも、ひきこもり少年の暴走気味で独りよがりな恋、といった感じ…。
僕は、BUMP OF CHICKENの「プラネタリウム」を連想した。曲調は全く違うけど。
曲の元ネタはウィリアム・ワイラー監督の映画「コレクター」(バンド名もここから)。こんな風に、映画・小説・テレビ番組の世界観を題材に歌詞を作りこむのが加藤ひさしの作風。ポップで可愛らしい、コレクターズの音楽…それらには、加藤ひさしの「オタク性(ある種のスタイルへの偏執的なこだわり)」や「それゆえ生じてしまう、周囲とのギャップ」が映し出されているように思える。
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YouTube [LIVE(1995)]
3.プ・ラ・モ・デ・ル
バットモービル(バットマンに出てくるスーパーカー)の歌。夢見がちな少年感が漂う。
6.僕は恐竜
時代に取り残された恐竜…という題材に、ウットリ。すごくコレクターズっぽいチョイス。
恐竜と言えば、子供の憧れの存在。
だけど、この曲に登場する「化石の街を散歩する恐竜」っていうのは、社会不適合のメタファーともとれる。
「適応的な成長をしなかった、加藤ひさしの内面」を「進化しなかった恐竜」と表現しているのか。はたまた、「今どき流行らない音楽をしているコレクターズ」イコール「恐竜」…なのか。いろんな憶測ができる。
次作・虹色サーカス団に収録した方がしっくりきたんじゃなかろうか。サイケで寓話っぽいので。
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11.夢みる君と僕
博物館に展示されている恐竜に「生き返って、大人たちを踏み潰して!」と願う少年の歌。
YouTube [LIVE(1993)]
12.僕の時間機械(タイムマシーン)
今の僕にできるのは 自分の未来を変えることだけさ
なんとも真っ当なメッセージ!
YouTube[LIVE(1987)]
YouTube大木知之もカバーしていた
虹色サーカス団 (1988)

前作よりも幻想的。自分がコレクターズに興味を持ったきっかけ。
加藤ひさし曰く、絵空事を通してリアルなものを表現する、ということをしたくてしょうがなかったとのこと
(FMナイトストリートでのトークより。こちらのサイトWelcome To The NIJIIRO FIELDS And The KOTONOHA KINGDOMに番組でのトークが載っている)。
ポップで可愛らしい音楽。でも裏側に尖ったものが隠れている。
世間への悪態だとか、自己嫌悪だとか、やりきれなさ、それでもやるしかないという開き直りだとか…。そういう二面性を持った寓話みたいなアルバム。
草野マサムネは、一曲ごとに映画一本観たくらいの充実感を味わえる、凄いアルバムですと帯にコメント。
1.カーニバルがやって来る
みんな待てずにどっか行っちゃった…。でも僕だけはカーニバルが来るのを待ち続けるよ!という歌詞。
辛くても夢に捕らわれ続けていたい!ときめき続けていたい!というメッセージか。
世間とずれているモラトリアム少年が、現実逃避しているようにもとれる。
周りのペースに合わせられないから、世間のレールから外れて自分のペースでやっていく…これは甘えか。それとも、賢明な判断なのか。モラトリアムをテーマにした曲ではないか。
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2.虹色サーカス団
元の歌詞は「虹色きちがいサーカス団」だったけど、当時の規制にひっかかって「虹色おかしなサーカス団」になったとのこと。
でも「きちがい」の方が、良かったと思う。「周りからは狂ってるように見えるんだろうけど、そんなの構うもんか!」って感じがして。「ようこそお花畑とマッシュルーム王国へ」にはきちがいバージョンで収録されている。
YouTube[LIVE(2009)]ライブは、ちゃんと「きちがい」って言ってる
YouTubeトモフカバー
3.10月のたそがれた海
追憶し、後悔し、今とは違う場所を目指そうとする…という物語調の曲。
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4.太陽はひとりぼっち
詞のテーマはシリアス。一方、リズムや言い回しは軽快。ピエロみたい。
YouTube[PV]
6.空想科学ロケット旅行
僕につかまって!今夜秘密のロケットで旅立とう!という歌詞。ロケットはメタファーで、性的な高揚感・全能感がテーマな気もするけど、それは深読みか。…と思っていたら、本当にエロい歌だった。こちらのサイトpetit marron's web siteでまとめられている、FMナイトストリートのトークから発覚した。
8.扉をたたいて
たとえ傷ついてもいい、ずっと誰か(何か)にときめき続けていたい!枯れたくない…と切実に歌う曲。「自分がちっぽけに思う感じをそのまま歌にした」とのこと。 日本コロムビア 配信限定アルバムリリース時のインタビュー
9.青と黄色のピエロ
アルバム後半のハイライト。
いつまで続けるの 偽りでふちどったチープなドラマというフレーズ。文脈からすると、悪趣味で単調な世間に対する悪態のフレーズなのだろう。でも、道化を続ける自分自身への嫌悪のようにもとれる。
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14.SPICKS AND SPECKS(LIVE'89/Previously Unreleased) *
ビージーズYouTubeのカバー。
*は2004年版(JANコード:4988004093005/品番:TECI-1064)にのみ収録のボーナストラック
ぼくを苦悩させるさまざまな怪物たち (1989)
世界への失望、手におえずふくらんでいく思いに押しつぶされそう…。悩み多き少年の日常。
曲調がますますポップでファニーになったことで加藤の道化的な性分が際立った。自意識過剰な社会不適合者ならではのルサンチマンの表現。
1.まぼろしのパレード
知らず知らずの内に押さえつけていた思いが「まぼろしのパレード」と化して、夜毎に少年を追ってくる。追いつめられるまで動けない苦しみ。
2.ご機嫌いかが?おしゃべりオウム君
人間を様々な動物にたとえた、風刺的な歌詞。
3.ぼくはプリズナー345号
まるで冗談さ ぼくのいる場所
とびきり最低の 悪いジョークさ
モラトリアム少年の厄介な心情。
愚痴る甘さ、現状を打破する術がないような絶望感。
YouTube [LIVE]
YouTube [LIVE(1990)]
9.CHEWING GUM
Wrigleyガムの歌。このアルバムでは「クチャクチャチューインガム」と歌われていますが、元の歌詞は「リグレイチューインガム」。のちに出るベスト、もしくは「ようこそお花畑とマッシュルーム王国へ」では、リグレイに戻ってる。
ライブではステージにガムを投げ込むのがお約束。しかし、ノリが悪い僕は投げれず、ライブ前に買ったガムをそのまま持って帰ってきた。ほろ苦い思い出。投げ込まれていたガムはWrigley以外も多かった。
YouTube [LIVE]
YouTube [LIVE(2012)]
12.CHARY GORDONのうた(ダニエル・キイスと白ネズミ“アルジャーノン”にありったけのぼくの愛を)
ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」が元ネタ。
PICTURESQUE COLLECTORS' LAND ~幻想王国のコレクターズ~ (1990)
シュールでポップ、ボリュームたっぷり。歌詞は予定調和か。一つの完成形。
オリジナルメンバーは「僕はコレクター」から本作までの4枚。この4枚は、とにかく屈折している。ポップで可愛らしい雰囲気、でも実は遠まわしに世の中を呪っている…そんな二面性がある。
2.ぼくのプロペラ
完全に下ネタ。the pillows「インスタント ミュージック」のPVの元ネタか。
YouTube[PV]
7.気狂い(クレイジー)アップル
「わけが分からない世界」の仕組みに馴染めない「僕」。社会不適合者の苦しみ。
12.チョークでしるされた手紙
叶わぬ恋を悲劇調に歌ったバラード。自殺の歌。
15.ロケットマン
どこか遠い星からころげ落ちた男「ロケットマン」の歌。短編SF小説が元ネタになっていると聞いたけど、何だったか忘れた。
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COLLECTOR NUMBER.5 (1991)
メンバーチェンジ&移籍後のアルバム。ピチカート・ファイヴの小西康陽がプロデュース。セルフプロデュースではない最初の作品。
「演奏そのものでリスナーをドライブしていけるような曲作りをしたかった」と、加藤が言っていたと思う。
歌詞は前作の延長のようでもあるが、本作以降はモラトリアム的な世界観から少し離れ、もっと広い層に届く(売れる)、より普遍的な音楽を目指し始めた印象。転換期。
2.SEE-SAW
ぼくのプロペラの焼き直し、だそう。
YouTube[PV]
12.あてのない船
あぁ月に照らされて
ぼくらあてのない船に乗って
このまま揺れていよう
Oh, Darlin', Darlin', Darlin' いつまでも
ムードがある。うっとり。こういう壮大でスタンダードな曲は前作まではなかった。
YouTube[LIVE(1995)]
13.1991
ピロウズのTokyo BambiのPVはこの曲のPVを意識しているのだろうか。
YouTube[PV]
愛ある世界 (1992)

3.NICK! NICK! NICK!
がんばれG.I.Joe!以来の反戦歌か。
片寄明人と加藤ひさしの対談CD Journalで、この歌はブルーハーツがやっても違和感ない、と言ってた。言われてみれば、イントロが「月の爆撃機」。
対談では、加藤がベーシストとしてブルーハーツに勧誘された話も語られている。
ファッション・歌詞・表現…ブルーハーツの存在に衝撃を受けた加藤と片寄は、共感しつつも独自性を模索していく。
当時の尖っていた加藤は本当に自意識過剰で扱いづらそうな奴…。でも、そういう神経質なこだわりが、彼の音楽の原動力なのか。
YouTube [LIVE(2003)]
6.恋はヒートウェーブ(Love is Like A) HEAT WAVE
恋はヒートウェイブ ハートの奥でうねってる
何かに火がついて ぼくは突然もえだした
元はマーサ&ザ・ヴァンデラスYouTube。ザ・フーYouTubeやザ・ジャムYouTubeもカバーしている。
SPICKS AND SPECKSと言い、加藤訳が良い感じ。
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CANDY MAN (1994)
ポップさ、スウィートさは数あるアルバムの中でも一番か。
3.真夜中の太陽
弦楽器による厳かなイントロ。徐々に音が増えていき…「♪知っていたさ きみが いつしか夢に消え」で一気に盛り上がり、世界観に引き込まれる!とってもドラマチック。聞くたびに、うっとり。映画や小説のような悲劇の恋の世界観。
8.ザ・バラッド・オブ・ロンサム・ジョージ
絶滅危惧種、ピンタゾウガメの最後の一匹「ロンサム・ジョージ」の歌(ちなみにジョージは2012年に死んだ)。
BEAT SYMPHONIC (1999)
映画やドラマのセリフのようなキザな歌詞。カッコつけた感じの楽曲が見事にカッコよく決まっている。
2.百億のキッスと千億の誓い
ロマンチックで壮大。ライブハウスよりも劇場やホールで演奏した方が絵になりそう。
YouTube[LIVE(2010)]
8.Butterfly Kiss
元ネタは映画「バタフライ・キス」。
11.Stay Cool ! Stay Hip ! Stay Young !
ご機嫌な人生讃歌。
13.螺旋のラウンドアバウト
環状になった道を周回しているだけのような繰り返しの日々。だけど実は、道は螺旋状になっているのかも。そして少しずつ上昇しているのかも、って歌詞。the pillows「WALKIN' ON THE SPIRAL」のモチーフはこの曲か。
SUPERSONIC SUNRISE (2001)
爽やかになった。それでいて、ポップ・二面性のある歌詞・ドラマチックな曲順(一本の映画みたい)…といった魅力は健在。
1.A TASTE OF YOUTH
全編スキャット。一曲目に相応しく、予感や幕開けを感じさせる。
3.MILLION CROSSROADS ROCK
ライブ映えする。「行きたい場所はどんな地図帳にも載ってないから、自分のイメージを頼りにどこまでも続く十字路を進め!」というメッセージ。人生なんて、ずっとミリオンクロスロードだよ。
4.恋のしわざ
本気の恋をしているオヤジが、いい歳して格好つけている感じ。
5.LUNA
爽やか。
YouTube[PV]
6.PUPPET MASTER
初期を彷彿とさせる。
でも、どこか違和感。足りない感じがしてしまう。声が変わったからか?初期の声(甘いけど尖ってる)なら、もっと合っていたかも。
10.沈みゆく船
諦め・無気力に支配されて流される、どうしようもない日々。そこで感じる、「どこでもいいから、今よりマシなところへ!」という惨めな思い。…不穏な航海の情景ごしに、人生の諦念や葛藤が表現されている。壮大な映画みたい。歌われているテーマは「扉をたたいて」に似てる。「夢が消えそうだ」「どこでもかまわない」といったフレーズなんかが。
夜明けと未来と未来のカタチ (2005)
ポップでありながら、ほろ苦い。リリー・フランキーのジャケのイメージそのままの楽曲。ポップ・遊び心・大人・マニアック。
2.未来のカタチ
YouTube[PV]
10.ファイナルラウンド ボクサー
惰性で生きてきた、さえない中年ボクサー。昔描いた夢にはもう届かない。でも、半分諦めつつも挑み続ける。そんな哀愁漂う情景が浮かぶ歌詞。これも映画みたい。
東京虫BUGS (2007)
今までとは違う。何かから解き放たれた感じがする。
本作もジャケはリリー・フランキー。
1.たよれる男
加藤は「男は強くなければならない」という、昔ながらの価値観を有している。加藤鷹×加藤ひさし対談
加藤が理想とする男の在り方が伝わるのがこの曲。
YouTube [PV]
YouTube [LIVE(2012)]
2.東京虫バグズ
ボクの目は複眼レンズで 誰も知らない世界のぞくカマキリ
言っていることはいつも通りだけど、雰囲気といいメロディといい、とっつきやすくなった印象。
ニコニコ動画 [LIVE]
3.ザ モールズ オン ザ ヒルズ
ヒルズ族を羨みながらも、彼等(をもてはやす時代)を嘲笑している。
「♪ボクら見えるか~い? そんな上か~ら 見つけられるか~い? ハッハハッハ~」のところの態度のデカさ、不穏な雰囲気がクセになる。
12.ツイスター
こういう直球ストレートな曲は新鮮。
青春ミラー(キミを想う長い午後) (2010)
前作に引き続き、「世の中に物申す」テイスト。
1.青春ミラー(キミを想う長い午後)
憧れの人に近づいたら自分の醜さが見えてきてしまった…という自意識過剰気味の詞。加藤らしさがある。
YouTube [PV]
7.ライ麦畑の迷路の中で
サリンジャーの死を受け、「ライ麦畑でつかまえて」がモチーフとなっている(Rooftopのインタビューより)。
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9.孤独な素数たち
「分かってくれる相手がいない孤独」や「割り切れない思い」を素数にたとえた曲。「どこまでも続いてる夢」「孤独をむすぶルール」というのはリーマン予想のことだ、と言っていた気がする(うろ覚え)。
12.イメージ・トレーニング
なりたい自分を思い描こう!という、人生応援歌。タイガー・ウッズ、どんなホールもねじ込むすごい奴という歌詞インパクト大。
地球の歩き方 (2011)
震災が歌詞に反映された。
12.春鳥の羽ばたく空
「誰かの鳥カゴに閉じこもってないで、満足出来るとこへと飛んで行け」というメッセージと、それに伴う寂しさ。慈愛に満ちた感じ。加藤ひさしも50だし。歳とった…。
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99匹目のサル (2013)
「最近はシンプルでわかりやすい、みんなで歌えるようなリフを持った曲を好む(日本コロムビアのインタビューより)」という加藤の志向が反映されている。やさしくなったコレクターズ。初期の、遠まわしで屈折した感じが好きだった人には物足りないかも。音としては、最近の重厚感が薄まり軽やか。
3.プロポーズソング
「♪しあ~わせ~にするぜ~」…これは言われてみたい(男ですが)。こんなオシャレスーツのオヤジに歌われると、たまらない。さすが、自分の見せ方を心得てる。
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5.誰にも負けない愛の歌
ポップで分かりやすいメロディといい、PVの衣装といい、パロディっぽい(ビートルズか)。やりすぎ感にこだわりが感じられる。
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6.オスカーは誰だ!
軽快で楽しげなリズムに、孤独や、やるせなさが見え隠れする歌詞。「虹色サーカス団」の頃の雰囲気に通じる。
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