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TOMOVSKY
本名:大木知之(おおきともゆき)。The ピーズの大木温之の双子の弟。元・カステラのボーカル。
公式サイト
NEGACHOV&POSICOV (1996)

6.ほめてよ
従来のうつ病とは違う「新型うつ」。耳にするようになったのは2010年頃からでしょうか。
大木知之は新型うつだと勝手に思っています。この曲のほめられないと 何もしないという歌詞を聴いたときもそう思いました。
診断が下りるかは分かりません。でも、彼の歌詞からイメージされる人物像は新型うつ症例※の典型例と近いです。
そう言えば、尾崎豊もなんらかのパーソナリティ障害であったという説があります。彼らは生きづらさゆえに、人とは違う視点からの作詞が出来るのかもしれません。
※新型うつの主な症状
・なにかと他人のせいにしがち
・人目を気にする
・へこみやすい
・好きなことしかできない。嫌いなことをするとうつ状態になる
・だが他人からは甘えているように見られやすい。なので、責められがち
・子供っぽいところがある。周囲が上手いことほめてあげることが大事だそう
新型うつはパーソナリティ障害に近いものとも言われている。パーソナリティ障害とは、平たく言えば「いびつな性格」である。
以下は、個人的な認識になるが…
新型うつは甘えと言えば甘えであるし、ただの自己中と言えば、そうである。ただ、その子供じみた部分が強すぎて、本人すらコントロール困難なのだろう。本人も周りも大変。
10.ガソリン
心がないクセに心を開こうなんて無茶なこと
いびつに育った人間は時として、人との距離感がおかしいと思います。他人と共鳴する部分が欠けているのだろう。こういう対人問題は悩むと泥沼にハマりがち。
トモフスキーは出来ないことは出来ないと言い切ってしまいます。関係を保つより自分を、悩まない・はまらないことを重視しているようです。
12.今度はサイゴまで
私たち人間は集団で生きています。
誰もが個人と集団のバランスをとりながらやっていっているのでしょう。成熟した大人は。
でも、中には集団に属すことに違和感を感じたり、感情を出せなくなってウズウズしてしまう人もいます。この曲のように。
僕はまだ笑いたりない それはいつも僕が途中でやめるから
僕はまだ怒りたりない それはいつも僕が途中で逃げるから
だから僕はしあわせでも不幸でもない
トモフスキーを好きな人は子供のような大人だと思っています。
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EXPO (1998)

11.散歩のための散歩
散歩のプロが行くよ
意味なんかいらない あっちゃいけない
気晴らしに散歩とか そんな事を言っては HEY HEY 散歩に失礼
散歩が好きなトモフスキー。「散歩のための散歩」という言葉はトモフとの対談中に同じく散歩好きの渡辺満里奈が発したそうです。
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GO (2003)

1.Go!Go!Go!
やりたいコトは今は ボンヤリしててもいい その時まで気分が ハッキリしてればいい
やりたいことが分からなくても焦っちゃダメ。なにか意義があることをやらなければ!…と焦ると、泥沼にはまってしまう。
散歩のための散歩、にも通じる歌詞です。
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我に返るスキマを埋めろ (2008)

1.我に返るスキマを埋めろ
幻想で 妄想で この部屋を満たせ
現実逃避というと、ダメな感じがします。
では、もし現実を直視したら苦しくなってしまうとしたら、それでもそれを受け入れ、歯を食いしばって生きなければならないのか?
大木知之は、現実を遮断する方を選んだそうです。「ウマくいくのかわかんないけど自分の人生を使って実験」とのことです。アルバム『幻想』トモフ本人による解説
「現実を遮断」。大木知之はいったい何に挑んでいるのでしょうか?
世間の常識に捉われない生き方をする、という意味でしょうか。それは可能だと思います。世間のレールを外れて食べていくことは才能があれば出来るはずです。
もしくは「現実を遮断」というのは、「自分の頭に思い浮かぶことにフタをする」というようなことなのでしょうか。だとしたら、それは辛そうです。精神衛生に悪い感じがします。
でも「いらない現実(自意識も含む)は入ってこれないようにするのだ」と本人が解説しているので、こちらの意味もありそうです。
苦肉の策なのかもしれません。
YouTube PVも音源も荒削りでLIVE感があってクールです
いい星じゃんか! (2012)

5.最強
二度目の幼少期へ
一度大人を経験している子供は強いぜ
トモフスキーは子供のような大人だと思いますが、彼は「確信犯」です。これを聴くとあらためて思います。思考の末に子供化した感じがします。
思考の末に思考放棄した感じがする倉持陽一と、似たものを感じます。
終わらない映画 (2013)
新境地だと思います。以前の白黒ハッキリしたキレが弱まりました。
ネットに、トモフスキーは既婚だという書き込みがありました。事実は知りませんしどちらでも良いのですが、このアルバムからはすごく既婚者っぽい感じがしました。親っぽさがあります。
世界を肯定的に捉えようとするところだとか。あと、「我(が)が消えてきちゃったけど、案外悪くないぜ」という感じですとか。
ブッ飛んだ言い方をすると、「我(が)が弱まって世界と繋がってきた」という感じです。そういう仏教・東洋的な思想ですとか、自由意思を否定する科学の知見などにも通じるものがあるように思えました。お気に入りです。